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こんにちは。質問なのですが、栃木県で蔵などを建てるときに使われる石の名前はなんと言うんですか?是非教えて下さい。宜しくお願いします。
N.nさん
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ご質問有難う御座います。
さて、御尋ねの石についてですが、たぶん、通称「大谷石」と呼んでいる凝灰岩のことだと思います。凝灰岩は、耐火性にすぐれ、加工が容易で、石の重量が軽いという特徴をもつため、広く建築石材として使用されています。
栃木県は、地下岩脈に凝灰岩の層があり、それらが露出している場所が、宇都宮市・鹿沼市・塩原町・那須町・茂木町などにあります。これらの露出地の中でも、宇都宮市から鹿沼市にかけて産出する「大谷石(流紋岩質緑色凝灰岩)が特に有名で、那須町から福島県白河市にかけて産出する「芦野石」(石英安山岩質溶結凝灰岩)なども、建築石材として使用されています。
大谷石は、歴史的に思川(黒川)・姿川などを中心する地域の古墳石室の材として用いられたり、下野国分寺・尼寺の礎石や化粧石に使用されたりしています。産出地域によって石材の硬度・耐久性に違いがあり、古墳や寺院に使用されているものには、1.000年以上経っても風化していない凝灰岩もあります。古墳時代後期の大円墳「車塚」(壬生町)の石室は開口していますので、巨大な凝灰岩の切石を組んだ石室を、是非一度、ご覧下さい。近世には、アメリカの建築家ライト設計による旧帝国ホテルが大谷石を使用していました。
岩石学・鉱物学的に言いますと、凝灰岩は火性砕屑岩とよばれる堆積岩の一種で、今から2,000万年前の新生代第三紀に活動した火山からの火山灰が固まったものです。当時の日本列島の大半はまだ海中にあり、その一部がわずかに水面上に出ており、流紋岩質火山の爆発により噴出した、火山灰や軽石を含んだ火山灰質のものが、海水中に堆積し凝固して出来たのだと言われています。さらに
詳しく解説しますと、堆積岩には火山砕屑岩という種類があり、火山角礫岩(火山岩塊の粒径32mm以上で、放出時に固体であったもの)・凝灰角礫岩(火山岩塊が50%以下)・凝灰集塊岩(火山弾の粒径32mm以上で、放出時に液体であったもの)・火山礫凝灰岩(火山礫の粒径32〜4mm)・凝灰岩(火山灰の粒径4mm以下)・溶結凝灰岩(火山灰などの火山放出物が、高温の火砕流として堆積し、内部が高温のために溶融したもの)という分類がなされます。
今度、蔵や塀の大谷石を見たときに、歴史的に重要な建築石材であったことも思い出してくださいね。 |
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