イメージ 栃木県埋蔵文化財センター Tochigi Archaeological Reserch Center
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埴輪と土偶の違いを教えてください。長野県にある道祖神って何万年後には今の埴輪みたいなものに匹敵するのですか。

栃木県在住 こきたんさん

ご質問有難う御座います。なかなか面白い発想で参考になりました。先ず、土偶と埴輪の違いについてですが、最初に土偶について話しましょう。
 土偶は、一言で言えば、縄文時代に使用された、人物や動物の形に作った土製品のことです。現在のところ、北は北海道から南は九州まで、約15,000点が出土し、最古の土偶は縄文時代草創期の三重県から出土したものです。土偶の大きさは、数cmの小型のものから40cm以上のものまであり様々です。東日本を中心に流行し、前期は板状で小型のもの、中期は立体的で脚のあるものや円錐形のもの、後期は筒形・ハート形・山形・ミミズクと分類されるもの、晩期は遮光器(しゃこうき)などの土偶が作られました。土偶は手や足など、どこかが欠けて出土することが多く、また、乳房や妊婦を表現し女性像が多いことなどが特徴です。このことから、出産・豊穣(ほうじょう)・再生にかかわる用途であるとの考えがあります。しかし、色々な土偶が多く、用途や役割については、結論が出ていません。
 埴輪は、一言で言えば、古墳にならべるために作られた土製の焼き物のことです。大きく分けると、円筒の形をした円筒埴輪と、人や物などの形につくった形象埴輪があります。円筒埴輪は、もともと壺を乗せる筒型の飾り台から発生したもので、壺と台が一体化した朝顔形埴輪などもあります。形象埴輪は、住居や倉庫などの家形埴輪、大刀やよろい・貴い人に差した日傘などの器財埴輪、馬・鶏などの動物埴輪、巫女(みこ)・貴人(きじん)・武人などの人物埴輪などがあります。4世紀には古墳の頂上の埋葬施設やその周辺に家や器財の埴輪がならべられましたが、5世紀以降は人物埴輪や動物埴輪が多くなりました。埴輪は当初、古墳に葬られる人物の生前の様子やその権威を示すもの、死者の霊に対しての捧げものでしたが、5世紀以降は、葬儀の様子などを表すものへと性格が変化していきました。
 以上のように、土偶と埴輪は、それぞれが使用された時代や使用する目的などが異なり、全く別のものであることがお分かりいただけたでしょうか。
 ですから、道祖神と比較することは難しいのですが、性格的には土偶にちょっと近いかな?と言った感じです。
 今日、民俗学で道祖神の研究がされ、性格や使用場所などについての沢山の論文や書籍が残されています。千数百年や何万年たった埴輪や土偶は、文字のない時代のものであるため、研究しても、まだまだ、不明な点が多いのです。しかし、文字として記録されている道祖神は、解明されているだろう可能性は高いといえます。また、いろいろな書物や資料を保管し、後生に伝えるための努力がなされています。ですから、今ある全てのものが遺物になったとしても、人類が安定して継続するのであれば、道祖神が埴輪に匹敵することはないかも知れません。それより、自然破壊・温暖化などで自分たちの住む地球を消耗させている人類の未来の方が心配です。

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