イメージ 栃木県埋蔵文化財センター Tochigi Archaeological Reserch Center
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こんにちは。昔の人の食生活について興味を持っています。遺跡から出土する植物遺体などに興味があります。植物観察などの自然観察も好きで行く機会があります。縄文人は旬のものを食べていたと言われています。春は山菜があります。今ごろの季節、縄文時代など、野菜の栽培などされる以前は植物食、特に菜っ葉、葉っぱものはどんなものを食べていたのでしょう?今ごろの野山にある植物は意外と食べられない毒草、有害なものが多いそうです。
 栃木県といったらトチノキですが、トチの実などはアク抜きが必要ですが、アク抜きの水さらしの遺構は栃木では出ていますか?
 お忙しい所すみませんが、栃木の知人からの質問なのでよろしくお願いします。

S.aさん

ご質問有難う御座います。縄文時代は、地域の環境に順応した食性の中、けっこう豊かに暮らしていたのではないかと考えられています。概説的に申しますと、夏期は海産物や河川流域の魚・蟹などを主体的に捕っていたとされています。しかし、これが、海なし県に当てはまるわけがありません。では、植物採集で暮らしていたのか?といっても、お尋ねの8月前後は、食用可能な植生が減じている時期であることはご指摘のとおりです。そこで、8月前後に現在の栃木県で採集できる食用可能な植物を探してみました。思ったより種類がありますが、これが縄文時代の植生そのものではないので注意してください。また、縄文時代が採集植物で、全ての食生活をまかなっていたわけではありません。特に、縄文時代は粉の文化とも言われ、秋に収穫した堅果類(ドングリ・シイ・トチノキなど)の保存とそれらを製粉してパン・ハンバーグ・クッキーなどに加工していたと考えられています。そして、肉類を薫製にして保存する技術なども発達しており、それらを様々に工夫しながら食べていたのでしょう。ですから、食用植物の少ない時期でも打撃を受けることはないと思われます。
 それと、灰汁抜きについてですが、アクを抜くための方法は、煮沸(加熱)・水さらし・凍結・発酵・吸着・酸化・酸素分解など様々で、代表的なものが水さらしです。栃木県では、小山市寺野東遺跡で確認された遺構が有名です。

栃木県で採集できる夏期の食用可能植物
植物名
採取時期
食用部位
ハシバミ 8〜9月 果実
ヒメコウゾ 7月 果実
コウゾ 7月 果実(生食すると刺毛が舌にささる)
クワ 春〜秋 新芽・若芽・果実
ホウノキ 初夏 若芽
トガスグリ 8月 果実
ウワミズザクラ 8〜10月 果実
クマイチゴ 6〜8月 果実
ニガイチゴ 6〜7月 果実
バライチゴ・ヒメバライチゴ 8月 果実
エビガライチゴ 7〜8月 果実
ナワシロイチゴ 6〜7月 果実
クロイチゴ 8〜9月 果実
コバノフユイチゴ 8月 果実
クマヤナギ 7〜8月 果実(リキュールむき)
ニッコウナツグミ 7〜8月 果実
ニワトコ 春/6〜8月 若芽・若葉/果実
ギョウジャニンニク 春/夏〜秋 若葉・若茎/茎
ツルボ 春〜夏 花と葉
ユキザサ 5月〜7月 若芽
ウワバミソウ 春〜夏 茎・茎根・葉・むかご
ヤマトキホコリ 初夏〜夏
ウスバサイシン 春〜初夏 若芽・若葉
スベリヒユ 6月〜8月 茎先
ジュンサイ 春〜夏 新葉
バイカモ 3月〜11月 水中の茎葉(毒性あり)
コガネイチゴ 8月〜9月 果実
ミヤコグサ 4月〜8月 若葉・花
ゲンノショウコ 真夏 全草(乾燥させ煎じてのむ)
カタバミ 5月〜10月 花・葉
ヤマゼリ 春〜秋9月 若葉・茎先・蕾
コヒルガオ・ヒロハヒルガオ 晩春〜初夏 つる先/地下茎・花
キランソウ 春〜秋
オオバコ 春〜秋 全草(乾燥させ煎じてのむ)
ノコンギク 4月〜6月/8月〜10月 若葉・若芽/花・蕾
ユウガギク 4月〜7月 若芽・新葉
モミジガサ 5月〜7月 若芽

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