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どんな理由で戦争が起こったの???

小学生11歳 近藤さん

大変難しい質問です。まず最初に「戦争」とは何かについて決めなければなりません。「戦争」と「殺人」をどこで区別するかは、学者によって意見はさまざまです。「戦争」をどうとらえるかによって、質問に対するお答えも違ってきます。ここでは、集団と集団が武器をもって戦い、その結果、多くの人が傷ついたり、死んだりするものを「戦争」とします。3〜4人のグループどうしが争った場合は、「殺し合い、傷つけ合い」として、「戦争」とはしないことにします(こうした3〜4人のグループどうしの争いは、女性をめぐる男性どうしのいがみあいや個人的なうらみによってもおこりますので、これからのべる「戦争」とは異なります。)。
 「農業のはじまりによって戦争が起こる。」という学説があります。農業が始まると、収穫した作物は個人のものとなります。作物のできぐあいによって、個人個人の収穫量の差がうまれます。これによって、財産を多く持つ人と財産が少ない人の違いが出てきます。これがやがて身分の差となってきます。農業を始める前は、狩りや植物採集によって得た食物は、ムラの中で平等に分けあっていたと考えられます。財産の多い少ないが生まれると、財産をめぐって争いが起こります。そして耕地(田や畑)が誰のものかということで、隣り合ったムラの間に争いが起こります。このようにして戦争が起こったのだということです。
 しかし、最近では「農業を始めなくても戦争は起こる。」という学説が出てきました。アメリカ大陸の北西海岸に、古くから住んでいた人々(以前は「インディアン」と呼んでいた。)は、農業を営んでいませんが、戦争をし、大量に人を殺していました。農業を始めていなくても、定住(けものなどの群れを追って移動して生活するのではなく、1カ所にムラを構えてそこに永く住むこと)をし、食物などの財産をたくわえれば、貧富の差が生まれ、その財産を奪い合うために戦争が起こるということです。
 では、日本ではどうでしょうか。縄文時代は、農業を本格的に始めておらず、自然界から食物を得ていました。定住をし、食料をたくわえており、豊かな生活を送っていたことが判っています。戦争をやっていてもおかしくありません。しかし、縄文時代に戦争をした証拠は見つかっていません。人骨に石のやじりが刺さったものが発見されていますが、これは全体の人骨の中ではごくわずかなもので、「殺人事件」とも考えられます。縄文時代に戦争があったかどうかは、まだよくわかっていません。次の弥生時代は、本格的に農業を始めます。弥生時代には、戦争をした証拠があります。獣をとるためのやじりより大形のやじりを作ったり、敵の攻撃に備えて堀をめぐらせたムラの跡がみつかったりしています。
 答えが長くなりましたが、結論を短くまとめると、次のようになります。
 戦争は、定住や農業を始めたことによって、財産の多い少ないの差が生まれ、そうした財産を奪い合ったりするために、起こったということです。

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